NASに使っていたRAID1ディスクのデータを無料で取り出す方法


NASのRAIDモードは何が良い?
最近よく聞かれるので、このように答えています。

RAID1なら、NAS本体が壊れても簡単にデータを取り出せるのでRAID1にしておけ

とは、言いながらも最近は壊れる前にNASを買い替えていて、RAID1のデータを何年も取り出していない気がするので復習も兼ねてデータ取り出し実験を行ってみました。


Ubuntuのインストール

Windows Server以外のほとんどのNASはLinux系OSで動いていて、NASのハードディスクをWindowsやMacに接続してもファイルシステムが異なるので、再度フォーマットしないと認識されません。

よって、今回は「Ubuntu」というLinux系OSを、使用していないパソコンに新規インストールしてテストします。


USBメモリで起動するための準備

このパソコンにはCD/DVDドライブが付いていないので、USBメモリを使ってUbuntuをインストールします。

手元にあったUSBメモリの容量が2GBしかなかったので、容量が小さいUbuntu16の「ISOファイル」をダウンロードしました。


ISOファイルをUSBメモリに書き込む

OSを起動する為には特別な形式でファイルを保存しないといけません。今回は「Universal USB Installer」というフリーソフトを使って、USBで起動(ブート)できる形で書き込みます。

「Ubuntu」を選択後、ダウンロードした「ISOファイル」を選択して、保存先の「USBメモリ」を選んで実行するだけなので簡単です。


OS起動順序の変更

通常のパソコンは「内蔵HDD」などを優先的に読み込んでOSを起動します。この順序を変更して内蔵HDDより先に「USBメモリ」を読み込むように設定します。

パソコンの起動時に「F2」を押すとBIOSの設定画面が表示されるので、起動順序(ブートシーケンス)を変更します。

このパソコンの場合には、ここに「Boot USB Devices First」の設定がありました(パソコンによって表記は異なります)


USBメモリを取り付けて起動

パソコン内部のUSB端子に取り付ける必要もないので、こんな状態で起動します。

USBによる起動に成功すると、このような選択画面が表示されます。

OSのインストールを選択して実行します(この画面が表示されない場合には、USBブートシーケンスの設定に失敗しており、内蔵のHDDなどを優先して読み込みしている状態だと思います)

インストーラーも無事に起動したのでインストールを続行します。


RAID1ハードディスクのマウント

インストールが完了したら、NASから取り外したRAID1のハードディスクをUbuntuパソコンに接続します。内蔵する必要はないので外付けのUSB接続を使います(HDDスタンドやSATA-USB変換コネクタなどを使います)

今回使っているのは「裸族のお立ち台」というHDDのコピーにも対応している製品です。


USBデバイスの番号を調べる

ls /dev/sd*

USBを指す前、指した後に、このコマンドを実行して、USBに接続したHDDの番号を推測します。

自分の場合にはUSBを指すと「sdb3」「sdb4」「sdb5」「sdb6」が現れましたし、パーテーションのサイズを確認すると「sdb6」が一番大きかったので、これがNASのデータ本体です(それ以外はNASのOS部分等と推測できます)


RAIDデバイス管理ソフトのインストール

sudo apt install mdadm

mdadmというソフトをインストールします。


以前存在していたRAIDアレイを再編成する

sudo mdadm --assemble --run /dev/md0 /dev/sdb6

sdb6」の部分は環境によって異なりますので変更してください。


RAID1ハードディスクのマウント成功

自分の環境だとこのコマンドだけでGUI画面メニュー左下にアイコンが表示され、クリックで開くとマウントされました。

保存してあった画像ファイルなども問題なく読み込みできる事を確認しました。

やはり個人や小規模事業者は、NAS本体が壊れてもデータを簡単に取り出せる「RAID1」がオススメです(RAID10だと難易度が上がる)


mdadm: /dev/sdbX is busy – skipping と表示されて実行できない時には…

何回かコマンドを実行してしまうと表示されます。マウント済みの場合には「アンマウント」後

sudo mdadm --stop --scan

上記RAIDアレイをすべて停止するコマンドを実行すると修正できました。